top of page
宮田 雅之(Masayuki Miyata)

宮田 雅之(Masayuki Miyata)

脚本
その他

プロフィール

登録日: 2026年1月14日

プロフィール

専門分野は「マーケティング」。最近の興味は「推し活」と「幸福度(ウェルビーング)」の関係。

記事 (7)

2026年2月3日3
福澤諭吉はなぜ「実学の祖」と呼ばれるのか【職業教育コラム(宮田雅之⑦)】
福澤諭吉が「実学の祖」であることに異論を唱える人は、さほど多くないであろう。では、なぜ福澤はそのように認識されるようになったのか。本稿では、その理由について考察してみたい。 福澤が「実学の祖」と呼ばれる理由をひとことで言うならば、学問を「知識の飾り」ではなく、「社会で役に立つ力」として再定義した点にあるのではないだろうか。 福澤は、学問を「生活と社会を変えるための道具」と捉えていた。当時主流であった朱子学的な観念論(※)や、暗記中心の学問を強く批判し、代わりに「日常生活に役立つ知識」「仕事や社会運営に直結する能力」「自分の頭で考え、判断する力」を重視した。すなわち、「役に立つ学問=実学」という考え方である。福澤が遺した「学問とは、人間の独立を助くるものなり」という言葉は、その思想を端的に表している。 また福澤は、西洋の「実用知」を日本社会に翻訳・導入した人物でもあった。蘭学や英学を通じて、西洋近代の知を日本に紹介し、経済学や商業知識、法律・政治制度、自然科学や統計、さらには論理的思考(reasoning)といった分野を広く普及させた。『学問のすゝめ』や『文明論之概略』は、専門家の...

87
0
8
2025年11月8日2
実学を貫いた政治家 髙橋是清【職業教育コラム(宮田雅之⑥)】
「経済の理屈は誰でも言う。だが、実際に金を動かすとなると、百の理屈より一の胆力だ。」 これは高橋是清(1854~1936年)の『高橋是清自伝』の一文である。理論ではなく行動に宿る知である「実学」の真髄が現れている。 政治家・高橋の最大の功績は、世界恐慌後に景気回復を成し遂げたことであろう。1931年以降、大蔵大臣(現在の財務大臣)として、「金本位制の停止」「国債発行による公共投資」などにより、デフレを止め、失業を減らした。世界的な経済学者ジョン・メイナード・ケインズが1936年に発表した「雇用・利子および貨幣の一般理論」より5年も前に、その基本的な理論を実践していた事実に驚かされる。 高橋は、「不況には金を出せ、好況には絞れ」という、実にシンプルな判断基準に従っていた。物価・雇用など「生活指標」を注目し、「経験則」「現場感覚」を大切にしていた。高橋の政策は後付で「実学的ケインズ主義」だったと表現されることがあるが、権威ある理論ではなく、自らの肌感覚を研ぎ澄ませ、街の声を根拠に行動していた点が俊逸である。 高橋の「実学」的思考は下記の4点に整理できるのではないだろうか。...

61
0
5
2025年10月11日2
教育理念と建築 ~新渡戸稲造とヴォーリズ建築~【職業教育コラム(宮田雅之⑤)】
建築は単なる物理的背景にとどまらず、教育理念を体現し、教育内容を支える媒体になり得る。建築を学びの環境と捉えると、建築そのものが「もう一人の教師」となり、理念を形にし、学び方を方向づける役割を担っていると解釈できよう。 建築と教育の関わりは、以下の大きく3つの視点で整理できるのではないだろうか。 価値の翻訳(理念を形に): 学校が大切にする価値(人格・実学・協働・開放性など)を、素材・光・動線・象徴の形で「見える化」する。 行動の設計(学び方を誘発): 平面計画・家具・スケール・音環境が、自然発生的な行動(立ち話、共同編集、集中、発表)を誘う。 教材化(空間そのものが学習資源): 構造・素材・設備・展示の仕組みを「触れて学べる教材」にする。 福澤諭吉が創立した慶應義塾(東京都港区)の図書館。 曾禰中條建築事務所が設計し 1912年に竣工した西洋式レンガ造建築。福澤は「学問のすすめ」で「実学」を説き、封建的な身分制度に代わる「文明開化」を志向した人物。瀟洒で華麗なゴシック建築の採用自体が「実学」「開化」の象徴であり、まさに建築を通じて「目に見える近代化教育」を体現していたと言えよう...

113
0
3
bottom of page