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AI対「ロジカル人間」❓            ・現実から離れたら問題解決は無理・        VETミッション・・・No.66

3 時間前
読了時間: 3分

 

 昔、小学校の入学前に知能検査というのがあった。農家の知人の子がその知能試験で、

図1を示されて「これは何ですか」と聞かれて、「ホルだよ、ホル!」と答えた。試験官は「これは牛だよね」と言いながら✖を付けた。かの知人は「ほぼ正解なのに」と悔しそうだった。この牛はホルスタイン種の牛であり、その農家では、ジャージー種など他の牛と区別すべくホルスタインを略して「ホル」と言っていた。


 (心理や教育職と思われる)人間の試験官はこの牛がホルスタイン種であることを知らなかったか、知っていたとしたら、関係者間では略して言う場合もあると連想が働かなかったのであろう。A Iならばどうであろうか。A Iは、関連資料に書いてあるホルススタイン種の牛については勿論画像も含め、直ぐに学習することができる。従って、「ホルだよ!」と答えが返ってきた時に、略語だということに気が付けば、(設定にもよるが)〇を付けた可能性は高い。

 「ホルだよ!」を評価する場合、どちらが正解なのだろうか。次の話の展開に結びつけることが目標なら、A Iの方が勝ちであろう。因みに、知人の子は、次に「ジャガイモ」の絵を見せられて「ばれいしょ(馬鈴薯)」(専門家や行政では馬鈴薯と呼ぶ場合が多い。)と答えて、またも✖をつけられ、あの試験官は馬鈴薯も知らないのかと、知人は本当に悔しそうだった。

 この試験官のような、実物との接点がないために色々な呼び方があるのを知らなかったり、勿論、それなりの情緒的な体験や交流がないので、「ホルだよ!」と親しげに答えた子供の気持ちを読みとれなかったりする、言葉しか知らない人を「ロジカル(だけ)人間」と筆者は読んでいる。言葉と定義の知識はあるので、その知識をもとに色々話を組み立てていくのが上手な人の事である。

 このロジカル人間は、知識の量を競う試験には強い。従って、社会の中枢に近づきやすい。その為、短絡的に言えば、こういうロジカル人間集団が中枢集団として打ち出してくる問題解決方針や計画は、現実と食い違ってしまう場合が少なくない。此の問題解決という点でも、多くの場合、A Iの方が解決の前提となる情報量が多いため、より有効に近い方針や計画を示す場合が多い。此処でも概ねA Iが勝ちである。

 勿論、両者の方針や計画も、例えば、ホルスタイン種の乳牛が快適に過ごせるような環境を整備する実態を作ることはできない。(情報の入力を誤らなければ、AIの方が堅実的な答えを出せる可能性が高いのではあろうが、あくまでも理屈上の世界である。)

 しかし、ここで考えなければならないのは、ロジカル人間も生物としての実体を持つ人間であるという事である。A Iは、実態のないクラウド上の存在なので、失敗しても被害はほとんどない。しかし、人間はそうは行かない。失敗をすれば最悪の場合、死に至る。牛との付き合い方が解らないまま近づけば、蹴とばされて死ぬかもしれない。しかし、牛との付き合い方を経験していれば、どうすればよいかはわかるし、情緒的交流もある程度は可能である。この、経験に裏打ちをされた「ホルだよ!」の方が実生活の問題解決に有効な実態がある知識なのである。そして、多分、人間として楽しく人生を生きていく知恵を生み出しうる知識なのであろう。

 この点は、人類の文化資産でもある「知恵」を伝承する使命を持つ「学習支援専門職(教員)」にとっても、大変重要な課題である。例えば、認知症の高齢者と交流した経験のない教員が、認知症高齢者について教えると、どういう事になるのであろうか。

 なお、件の知人の子は、「土」のことを「どじょう(土壌)」と言ったりするので、近隣の子ども仲間では親しみを込めて「どじょうチャン」と呼ばれていたそうだ。

                           (泣いた赤鬼・川廷 宗之・記)

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